【01.Question】
狙いとしては面白い。
複数回繰り返すことによって異なる問いを投げかけてくるのは
まさにタイトル通りであると言える。
しかし、ややメタ(もしくは二人称的)すぎるきらいはある。
そしてそこには既存のメタ論との差異はあまり見られないので、最初はその形式に
驚きこそすれ、最後まで読み進めてみても、そのトリック自体に驚きは感じられなかった。
「思考テストとして」「ゲームのいち形式として」であれば充分に楽しめる。
ただ、あまりにも形式を重視するあまり、自縄自縛に陥っているようにも思えた。
そしてこのゲーム、『湾甲学園』の文字がどこにも存在しない。
【02.植木鉢】
ギブアップ。
普通に読んでいる時点では、普通に恋愛小説を期待したのだが。
『湾甲学園』の文字や設定が全く存在しない点は【01】と同じ。
【03.しゅうまつほうそうきょく!】
デ☆オチ。
一度終わりまで読んでしまうと、タイトルコール以降は
すべてが蛇足に思えるほど味気なく感じられてしまった。
『湾甲学園』の文字や設定が全く存在しない点は【01】【02】と同じ。
【04.風紀委員 二見美玖里の事件簿 ~湾甲学園 男子生徒溶解事件~】
溶解と妖怪の“ヨウカイ”つながり。
そして、人間と妖怪が共生する学園――湾甲学園。
『湾甲学園』の名称や設定はきちんと配置されている。
学園の制服に添えられた校章などの演出もニクい。
物語の筋は、溶解した男子学生を巡る学園生の悲喜交々。
タイトル通りに「推理によって犯人を導き出せるか!?」という読み方も可能。
それでも基本的にはコメディ色が強いので、推理モノが苦手なひとでも楽しめる。
構成がキレイで、落とすべきところにストン、と落としてくれた感触。
そして主人公のニ見や、その他キャラクターのグラフィックが可愛いのも嬉しい。
【05.a pincushion】
冒頭のノートに書かれた文字の演出、そして語り口のたおやかさが印象的。
『湾甲学園』の名称や設定は、語りの始めに舞台設定として登場。
過去を回想する形で学園に関する語り手の印象が述べられることで
ノート執筆時の語り手の心情をある程度透かして見せる手法。
眩しい⇔暗い。明暗のコントラスト。青春の光と影。影と痛み。
最初から最後まで密やかに、静かな物語。全体を通して雰囲気で読ませるノベル。
【06.なんDAそれ!?】
「なんDAこれ!?」とプレイヤーが思わずツッコんでしまいそうなタイトル。
OP&ED完備、キャラクターフルボイス、イベントCG複数枚使用の豪華仕様。
すべてにおいて全力で、歪みが無い。プレイした感想はただ笑うしかない。
ひとつひとつは寒いネタでも、全編押し通せば奇跡が見られるかもしれない。
あらゆる意味での可能性を感じさせてくれる作品。つまりは愛すべきバカゲー。
『湾甲学園』は名称のみ登場。作中での意味は特にないものと思われる。
【07.有限失効】
終わりなきゼロサムゲーム。有限の無限。そしてその有限は失効される。
『湾甲学園』の設定が明確であり、『湾甲正』がエントリー作品の中で最も
実体を伴なっていた(実体、という言い方には少々語弊があるが)。
学園モノ、そしてループという設定を活かしながらも、その中でさらに
異能バトル・SFといった要素が非常に上手くミックスされていた。
トゥルーエンドはもちろん、バッドエンドまできちんと作られている作品。
【08.うーとまれぐにゃ!】
廃部の危機に立たされた○○部の奮闘記、と見せかけて、
実は案外ラブコメ的な要素がメインだったりするお話。
恋愛要素は王道的な流れで突き進み、そしてある一定のところに落ち着く。
しかし、その恋愛描写に至るまでの会話の流れがやや冗長に思えた。
基本的にユル系の日常会話のみで構成されているからか、物語の起伏が
あまり感じられない。欲を言えば、どこかでもうひとひねりが欲しかった。
『湾甲学園』については、6000人という設定を利用してはいるものの、
その中でも特に○○部に部員の5人すらいないというのはやはり
やや説得力に欠ける部分ではあった。
【09.ノ\(のスラッシュ)】
素晴らしき一発ネタ。
思わず声を上げて笑ってしまった。
もしも「こんな伝説の○○は嫌だ!」というコンテストがあれば
間違いなく最有力候補だろう。
『湾甲学園』の名称と設定は存在するが、物語への絡め方としてはやや薄め。
【10.2月13日、秘密会議】
2月14日に懸ける、漢たちの試行錯誤。
舞台設定や題材など、特に目新しさは感じられなかったが
登場人物がひたすらに空回りしていく様子は微笑ましかった。
『湾甲学園』の名称・設定についての言及はなし。
【11.Black Blind Spot】
学園の噂、旧校舎にある●●、とあるおまじない。
そして集まる人間は、どうにも変人ばかりのようで……?
『湾甲学園』の設定、そして『湾甲正』の存在を物語中に上手く組み込んでいた。
登場するキャラクターたちも記号的でありながら記号的ではなく、それぞれの
個性を保持しているところにキャラクターメイキングの上手さを感じた。
そういったキャラメイクもさることながら、グラフィックも美麗。
背景の処理も上手く合わさって、裏に表に物語をよくリードしていた。
というわけで、以上、ウチの作品を除くエントリー作品、計11作品の感想でした。
ウチの作品についての感想は、
650の無味乾燥 様がもう既に全12作品のレビューを
書いておられるので、そちらをどうぞ。相変わらずお速いです。マッハです。
その他にもブログ拍手やメール、ツイッターなどでウチの作品のご意見・ご感想をくださった方、
どうもありがとうございました。ひとつひとつのお便りがとても励みになります。
もう既に作品をプレイされた方も、まだこれからの方も、
お気に入りの作品には、ぜひぜひご感想をしたためてられてはいかがでしょう?
そんなコンテストの楽しみ方、プライスレス。
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